新喜劇タイムズ

吉本新喜劇についていろいろ考えるブログです。

新喜劇における新たな表現の在り方とは

 吉本新喜劇は来年(2019年)、旗揚げから60年の節目を迎えます。

 

吉本新喜劇はこれまでたくさんの座長によって、多種多様な舞台が繰り広げられてきました。

吉本新喜劇がこれからも続いていく為に、舞台における表現はこれから先どのように変わっていくべきなのでしょうか。

 

 

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新喜劇×ダンスの”エンターテイメント型新喜劇”

 吉本新喜劇は「漫才芝居」と呼ばれるように、漫才を概ね舞台にするような形で登場人物たちがとにかく滑稽な事ばかりを繰り広げるというものでこの流れは現在に至るまで続いています。

 

 

しかし最近の新喜劇では少しずつその内容に変化が生じてきています。

今から4年前の2014年、高井俊彦さんが『踊る新喜劇』というイベントを開催しました。これは新喜劇の舞台の中で本格的なダンスを披露するという当時としては非常に画期的な内容が取り入れられました。

このイベントは2014年に合わせて3回開催され、吉本新喜劇における新たな表現の領域を切り開く事になりました。 

 

 

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記念すべき第1回の『踊る新喜劇』のポスター。「SHINKIGEKI SIDE STORY」と名付けられたタイトルはアメリカのミュージカル『ウエスト・サイド物語』に由来している。加えてその『ウエスト・サイド物語』の「ウエスト・サイド」は高井俊彦自身がかつて所属していたダンスユニット『WEST SIDE』の名前でもあり、一種の言葉遊びになっている。

 

 

その後、こうした形での新喜劇の舞台活動は一旦沈静化する事になります。

 

しかし翌2015年になって、新喜劇×ダンスという新たな表現を備えた舞台は別の形で再び動き出す事になります。それは、お笑いコンビ『水玉れっぷう隊』のメンバーとしても活躍するアキさんの吉本新喜劇への入団です。

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

「いいよぉ~」や「そういう時期でしょ」などのギャグで知られるアキさんは入団直後から辻本茂雄座長の舞台に出演しその人気を得ましたが、同時にアキさん自身が主役となってプロデュースする舞台『Joy!Joy!エンタメ新喜劇』を開催するようになりました。

 

この舞台の魅力は、何といってもキレキレなダンスの数々。アキさん自身によるものに加え、他のダンサーたちが繰り広げるパフォーマンスは圧巻です。

 

『Joy!Joy!エンタメ新喜劇』は2015年11月になんばグランド花月で初公演を行って以来なんばグランド花月で合わせて7回開催され*1、幅広い世代に愛される人気イベントへと成長しています。 

 

「新喜劇×ダンス」というこれまでになかった新しい組み合わせが多くの観客を魅了し、その心に響いたのです。

 

 

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チアリーダーのちあきやスパッツおじさんなどのキャラクターも登場する『Joy!Joy!エンタメ新喜劇』。新喜劇×ダンスというこれまでにない斬新な組み合わせは、多くの人々の関心を呼んでいる。

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吉本新喜劇における歌

 吉本新喜劇では「歌ネタ」と呼ばれる、歌を使ったギャグの一種が劇中で披露される事があります。しかしその時間は長くてもせいぜい数十秒程度で、数分にも及ぶ本格的なものではありません。

 

ただ2016年7月に行われた『松浦真也吉本新喜劇2026』では一部の出演者が”歌手”として登場し、劇中で本格的に歌を歌うという試みがなされています。

 

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もし吉本新喜劇の舞台の中で本格的な歌唱シーンを入れるとした場合、一体どれくらいの長さが適当なのでしょうか。

 

 

アメリカのニュースサイト『VOX』に2015年に掲載された記事によると、ヒット・ソングの長さは概ね3~5分程度であるというデータが明らかになっています。 

 

 

 

また新喜劇タイムズが参考として、映画『サウンド・オブ・ミュージック』(1965)で使われる歌の入った楽曲が映画の上映時間のうちどれくらいの比率を占めるのか調べてみたところ、上映時間174分に対して使われた歌入りの楽曲は19曲、時間は約43分、率にして24.7%という結果が出ました。

 

吉本新喜劇の舞台は概ね45~50分程度の時間で上演されるので、先程出た比率の数値を当てはめてみると11あるいは12分ということになります。 

 

これを踏まえると吉本新喜劇の舞台の中で本格的な歌唱シーンを入れるとした場合、内容など様々な事柄を総合すると、最長で10分程度が妥当といえます。1曲の長さが3分とすると3曲が、5分とすると2曲が入る計算になります。

 

本格的な歌唱シーンを入れるとなれば、座長は内容に合う曲をどれにするか・どのタイミングで流すか・誰が歌うのかを決める作業が新たに加わってきます。さらに、もしオリジナル曲を使うとなった場合は先程挙げた作業に加えて、作詞作曲も行うという非常に難易度の高い作業をこなさなければいけません。

 

 

60年の歴史において前例のない吉本新喜劇の新たな形。果たして、これを物にする座長は現れるのでしょうか。

 

 

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”違う姿”を見せること

 吉本新喜劇では過去に『エクスタシー大阪』という曲を1996年にリリースしており、当時ニューリーダーとして活躍していた内場勝則座長・辻本茂雄座長・石田靖さんのほか、スター座員による歌声を聞く事が出来ます。

 

特に内場勝則座長・辻本茂雄座長の歌唱力のレベルの高さはファンの間で広く認知されており、語り草の一つになっています。

 

 

ただ最近は、歌などの他分野での活動をする機会がほとんど無い為、こうした”これまでと違う姿”が公になる事はほとんどありません。一方で人々の趣向は変化を続けており、これまでのコテコテを前面に押し出す方法一辺倒では今後の状況によっては集客に影響が出る可能性があります。

 

そうならない為にもこれまでの方法に加えて、吉本新喜劇における新たな分野の開拓を積極的に推進し、若手座員たちの新たな魅力を引き出し、現在に至るまで長く浸透してきたイメージを変えていく必要があるのではないでしょうか。

 

吉本新喜劇がこれからも続いていく為にはどうすれば良いのか。新たな表現の模索は続きます。

 

 

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*1:昨年(2017年)4月には、東京・新宿のルミネtheよしもとで初となる東京公演を行っています。