新喜劇タイムズ

吉本新喜劇についていろいろ考えるブログです。

吉本新喜劇の東京公演を考える

 今や全国的な知名度を誇るまでに成長した吉本新喜劇。しかし、それでも新喜劇座員達は公演を観に足を運ぶお客さんに「笑顔になってほしい」という思いを胸に日々懸命な努力を続けています。

 

 

 そんな中、2月17日(土)に東京のルミネtheよしもとで『ルミネthe石田笑店 ~西も東もええねん~』が開催されました。

 このイベントは、あのNHKの朝の連続テレビ小説わろてんか』に出演中の内場勝則さんが登場すると関東在住の新喜劇ファンを中心に話題となりました。

 

 

 

 この記事では吉本新喜劇のルミネ公演について分析すると共に、吉本新喜劇の東京進出の在り方について考えてみたいと思います。

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 

 

ルミネに本場の新喜劇がやって来た!

 このイベントの開催に先立って行われたインタビューの中で、靖さんは大阪と東京の劇場での反応の違いについて次のように話しています。

 

  

ーーそれまでの大阪での「石田笑店」と、前回のルミネ公演とでは、お客さんの反応は違いましたか?

大阪でやるときは大阪のメンバーの方が多かったんですよね。で、ルミネの場合は逆に東京のメンバーの方が多くて。だから、東京の方では(お客さんが新喜劇に)慣れてなくても笑えるように作ったんで、改めて「これはこれで大丈夫なんやな」っていうのを感じました。基本的には『誰がいつどこで見ても笑えるものを作ろう』というのがコンセプトなので。でもたぶん「内場さんが来てくれはるんや」とか思うと、みんな前回よりも刺激になると思います。なんか、対戦相手みたいなもんなんでしょうね、プロレスの興行と一緒で。誰と誰を出すとか、誰と誰がタッグマッチするとか、それで盛り上がるじゃないですか。いつものパターンばっかりっていうのも、それはそれで面白いとは思うんですけど、そうじゃない組み合わせとか絡みも観れた方がいいですよね。

ー2月17日(土)公演! 吉本新喜劇 石田靖座長公演 『ルミネthe石田笑店』~西も東もええねん~ 石田靖インタビュー:よしもとニュースセンター  

 

今回のイベントには大阪から内場勝則さん・やなぎ浩二さん・前田まみさんが参戦し、内場さんはあの「アホボン」の役で登場したのです。

 

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内場さんが久しぶりに「アホボン」の役で登場した事にファンの皆さんは大盛り上がりだったようです。 

 

 

 

こうして大盛況に終わった「ルミネthe石田笑店」ですが、実は今年のルミネtheよしもとはこのイベントだけではなく、本公演においても大阪と東京の新喜劇座員がコラボする公演「新喜劇プラス」を行っていたのです。 

 

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吉本新喜劇の本場・大阪の新喜劇座員の活躍が東京で観られる公演「新喜劇プラス」。その後、2月にも実施されている。

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こうした公演が行われていると思うと、吉本新喜劇の人気が東京でも定着してきている印象を受けますね。

 

 

現在は東京をはじめ全国的にその名前が知られている吉本新喜劇ですが、今日に至るまでに想像以上の苦労がその裏にはありました。

 

 

 

 

 

 

京進出への苦難の歴史

 

 「新喜劇やめよっカナ!?キャンペーン」が功を奏し存続が決定した後の1991年、吉本新喜劇は初となる東京公演を行い大成功を収めます。

 

 

 

しかし、ここからが苦難の連続でした。

 

6年後の1997年秋、全国において木曜20時台の視聴率を確保したいという毎日放送の思惑と新喜劇を全国区化させたいという吉本の意向が合致し、吉本新喜劇における初の全国ネット番組『超!よしもと新喜劇』がスタートします*1

 

ところがこうした関西独特のドタバタコメディが放送されていなかった東日本地域の視聴者に受け入れてもらう事は困難に等しく、加えて本来の新喜劇には無い大掛かりな仕掛けを備えたセットや演出、さらに吉本興業以外の所属で新喜劇経験の無いタレントやゲストを交えた番組進行が不評を買い、番組は開始からわずか1年で終了してしまいます。

 

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番組放送当時のテレホンカード。1997年当時所属していた新喜劇の若手座員が後に全国区で活躍するきっかけを作った。

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それでも東京進出を諦めた訳ではなく、現在の座長固定制が敷かれる1999年にはスタジオアルタ石田靖さん・内場勝則さん・辻本茂雄さんの3人のニューリーダー(当時)を中心とした本場の新喜劇を週末に定期的に上演し、この模様は関西ローカルにて放送されました*2

 

それから2年後の2001年、ルミネtheよしもとがオープンし東京で吉本新喜劇の定期的な公演を行う環境が整いましたが台本と出演者を東京オリジナルのものにするなど、様々な試行錯誤が続けられました。

 

しかし、東京の芸能界における競争相手の多さなどから吉本新喜劇が全国的な人気を得るまでには10年以上後の2014年になるのを待たなければいけませんでした。東京での初公演から実に23年もの歳月が流れていました。

 

 

 

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昨年(2017年)に「キャリアウーマン」のネタが大ヒットしたブルゾンちえみ。ネタの中で使用される曲や、withB(後方二人)が注目を集めるなど一躍時の人となった。

 

 

 

 

 

 

新喜劇を取り巻く環境が変わる中で

 吉本新喜劇の誕生から60年余りが経ち、新喜劇を取り巻く環境も大きく変化してきました。 街中にたくさんの娯楽があふれる中で、芸能界においても様々なジャンルの演劇や音楽などが人々を楽しませています。 

 

そんな中で吉本新喜劇は消滅の危機を乗り越え、多くの観客を笑顔にする為に常に新しい挑戦を心がけ、全国的に注目されるまでに成長しました。

 

多彩な娯楽に満ちあふれている今、吉本新喜劇がこれからも続いていくためには『今まで培ってきた新喜劇のアイデンティティーと大胆かつ新しい挑戦がいかにして共存していくか』というところにかかっていると思います。それは吉本新喜劇の東京進出においても重要な事ではないでしょうか。

 

今まで通りのやり方で観客が笑わなかったとしても、これまでになかった別の表現の仕方次第で観客の心を動かす事が出来るかもしれない。

そうした思考転換が東京進出を含めこれからの吉本新喜劇に問われているような気がします。 

 

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新喜劇にゲストが出演する事はOKなのか。これも吉本新喜劇がこれからも続いていく為に向き合わなければならない課題の一つなのかもしれない。

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*1:東京のスタジオで収録が行われていました。

*2:『ギャク輸入!新喜劇』(朝日放送)。