新喜劇タイムズ

吉本新喜劇についていろいろ考えるブログです。

【吉本新喜劇2027 第1回】酒井藍の座長就任について考える

 もうすぐ6月になり、梅雨の時期が近づいてきていますね。これから長い雨のシーズンが始まりますが、吉本新喜劇ファンの皆さんも負けずに頑張っていきましょう。

 

 さて新喜劇タイムズでは吉本新喜劇の未来をより深く考えるために、特定の若手座員にスポットを当てながら考えていくシリーズ『吉本新喜劇2027』を開始することになりました。このシリーズが吉本新喜劇の魅力や問題点などについてより多くの人へ独自の視点で伝えることが出来ればと思います。よろしくお願いします。

 

記念すべき第1回は、つい先日発表された酒井藍さんの座長就任について考えていきたいと思います。

 ※今回の記事に関してはかなりの長文になっておりますことをご理解ください。

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 衝撃の「女性初・史上最年少」座長の誕生

 私が辻本さんの新喜劇に関する最初の記事をアップロード、そして信濃岳夫さんの単独公演が行われた5月26日(金)に吉本興業から酒井藍さんが座長に就任する旨を発表しました。

 

 

吉本新喜劇酒井藍が、このたび女性初の吉本新喜劇座長に就任することが決まりました!

酒井藍は、2007年9月に吉本新喜劇「第3個目金の卵オーディション」合格後、新喜劇に入団。ぽっちゃりキャラを生かし、「ブーブー。ブーブー。私、人間ですねん」のギャグで一躍人気者に。近年では数々の公演でリーダーを務めており、今年1月のMBSよしもと新喜劇スペシャル』では初の座長を担い、3月には『よしもと新喜劇映画 女子高生探偵あいちゃん』初主演。舞台やテレビなどで幅広い世代の心をつかんできました。関西での認知度は新喜劇内でも屈指であり、またその人柄から先輩や後輩からも慕われています。若干30歳で荒削りなところもありますが、今までにない新たな風を吹き込んでくれるとの期待を込め、吉本新喜劇58年の歴史で初の女性座長に任命されることになりました。

ーよしもとニュースセンター「酒井藍吉本新喜劇座長に就任決定! 史上初の"女座長"が誕生!」

 

これまで座長就任に関しては清水けんじさんやアキさんがなるのではないかと噂されてきました。ところが、そうした動きの中で吉本興業はこの2人ではなく酒井藍さんに座長という重要な役目を与えたのです。

 

このニュースがインターネット上で最初に報じられたのがスポニチアネックスの午前11時54分*1。おそらくほとんどの人が職場や学校などで昼休み直前という方が多かったのではないでしょうか。

 

昼休みになってスマホで何気なくニュースを見ていたら、酒井藍さんが座長に就任する事になっていた・・・。全国の吉本新喜劇ファンにとって衝撃的なニュースだったと思います。

 

これにより1999年に現在の体制になってからでは初の女性座長、そして小籔千豊さん・吉田ヒロさんの32歳を2つ下回る史上最年少の30歳での座長就任となったのです。

(但し旧体制時代を含めると山田スミ子さんが女性初、歴代最年少は1974年に就任した木村進さんの23歳である。)

 

今回の座長就任に合わせて、全座長から祝福のコメントが寄せられました。

 

内場勝則

酒井藍さん座長就任おめでとうございます。しかも女性初座長です。

みんなに愛されるキャラクターなので大丈夫だとは思いますが、今までの、一座員という訳にはいきません。

体重だけでは無く責任という物が重くのしかかって来ます。

プレッシャーで痩せる思いでしょうが新喜劇の横綱になって下さい。

そして我々には出来ない女性目線の楽しい吉本新喜劇期待してます!

 

辻本茂雄

吉本新喜劇、初めての女性座長就任おめでとう!

色んなプレッシャーあると思いますが、そのプレッシャーに打ち勝って頑張って下さい!

酒井藍ワールドの新喜劇と座長になってからのパワーアップした乗りツッコミを楽しみにしてます!

 

<川畑泰史>

藍ちゃん!座長就任おめでとう!

初の女性座長!

めちゃカッコええ!

藍ちゃんは、凄い努力家で、全ての座員から愛されている、素晴らしいデブです!

健康面以外は何の問題もないと太鼓判を押させて頂きます!

新喜劇に女性旋風を巻き起こして下さいね!

皆様、藍ちゃんの新喜劇で大いに笑って癒されて下さいませ!

おめでとう!

 

小籔千豊

藍ちゃんが座長になるのは本当によかったです

藍ちゃんはおもしろいのはもちろんの事、気配り目配りが細やかにできる子なんです。

リーダーに必要な公正さもあります。

藍ちゃん新座長のおかげで益々新喜劇は勢いづくでしょう。

 

 

<すっちー>

「初の女性座長ということで、男性にはない女性ならではの感覚で新しい風を吉本新喜劇に吹き込んで、

吉本新喜劇を一緒に盛り上げていきましょう。なかなか大変な仕事なので、ガリガリになるかもしれません。

もし、ガリガリになったら座長ダイエットという本を出して下さい・・・。」

 

 

  どの座長のコメントも非常に個性的でユーモアあふれるものになっています。一つ安心したのは、辻本さんからコメントが送られたことでしょうか。藍ちゃんは小籔さんと非常に仲が良いため、人間関係が色濃く出てコメントを控えてしまうのではと心配していましたが杞憂に終わりました。

 

また、今回の座長就任で多くのメンバーがツイッターを通じて祝福のコメントを発表しました。中には普段なかなか共演することがないメンバーもいました。

 

 

 この一連のツイートから感じたのは 藍ちゃんが幅広いメンバーから愛されているということです。普段なかなか共演することがないメンバーもどこかで藍ちゃんのことを想ってくれていると思うとしみじみと感じますね。

 

 さて座長就任に際して7月26日(水)~31日(月)に、なんばグランド花月で記念公演が行われ初日には口上が藍ちゃん含め各座長から述べられる予定になっています。

問題は、座長が全員揃うかどうかということ。前回すっちーが座長に就任した際は全座長が揃いましたが、今回はどうなのでしょうか。

 

辻本さんに関しては公演の初日である7月26日(水)に予定は今のところ入っていないとみられ、口上に参加できる状況であると考えられます。しかし、小籔さんとの人間関係を理由に参加しないという可能性は否定できません。また、翌日の7月27日(木)には奈良県で30周年記念ツアーの公演が控えています。この辺りも今後の動向が気になるところです。

 

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奈良県文化会館へは車でNGKから高速道路経由で約40分弱の所にあるため、当日の朝に大阪市内を出発したとしても十分間に合う可能性はあると考えられる。

 

果たして全座長が揃う姿を見ることは出来るのか。期待半分、不安半分で待ちたいと思います。

 

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 Ⓒ吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

NHKニュースなどの報道から見える思惑とは

 今回の座長就任はNHKの夕方6時の全国のニュースでも取り上げられ、瀧川剛史アナウンサーが酒井藍さんの代表的なギャグ「ブーブー ブーブー 私 人間ですねん」を淡々と、かつ関西弁の的確なイントネーションで読む様子が話題になりました。ちなみに瀧川アナウンサーの出身地は奈良県だそうですよ*2

 

 

 

 一方で、ネットニュースの記事には軒並み「女性初」「史上最年少」なかには「小籔超え」の文字が載るものもありました。これらの報道から感じるのは、事務所側が話題作りのために藍ちゃんを座長に起用したのではないかということです。

 

先程の「女性初」「史上最年少」というのは新聞やテレビなどのマスメディアにとっては記事を書いたりニュースを報じたりする上で購読者・視聴者を惹き付ける重要な要素になるといえます。

そして話題が注目されれば、新聞社やテレビ局果ては吉本興業の利益に大きく貢献することになります。

 

藍ちゃん自身に関しては何の罪もありません。しかし彼女がこうした話題作りに「利用」されてしまったのではないかと思うと少し残念でなりません。

 

 また、吉本興業の中では旧体制時代の新喜劇は忘れられてしまっているのではないかとも感じました。藍ちゃんは記者会見の中で、「新喜劇初の女性座長として、これまで先輩方が築き上げてくださった歴史を引き継げるようにしっかりがんばりたいと思います」とコメントしています。実際問題、現体制の新喜劇ではなく花紀京さんや岡八朗さんが活躍していた時代の新喜劇が好きだというファンの方も少なくありません。

 

過去の伝統を引き継ぎながらも新しい形の新喜劇を開拓していく。果たして吉本興業はどれくらい本気で取り組んでいくのでしょうか。

 

 

ネット上では賛否両論に

発表直後、ツイッター上では賛否両論が巻き起こる事態となりました。

 

 

 藍ちゃんのファンにとってはもちろん嬉しいことだと思います。藍ちゃんを責める理由は何一つありません。ただ、やはり「女性初」「史上最年少」座長という事務所側の話題作り感がどうも否めません。運営側がどんな考えを持っているかは分かりませんが、もう少しファンの動向について深く分析する術を学んでほしいと思います。

次こそはどのファンも納得できる人事であってほしいですね。

 

 

しみけんの座長になる夢などはどうなるのか?

こうなると気になるのは、しみけんさんの座長就任がどうなってしまうのかということです。

 

上記の記事でも言及しましたが、しみけんさんは3年半も前から座長就任を目指して累計14回もイベントを行ってきています。それにも関わらず座長になれないというのはどんな可能性が考えられるのでしょうか。

 

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 吉本興業から見て、しみけんさんが重要な存在であるということは間違いないと思います。ただ、座長になれるほどの実力を持っていないと判断されているのかもしれません。

 

ファンの方々の間と業界関係者の間での認識に少なからず差があることは仕方ないと思います。しかし、今後の日本は少子高齢化が進み人口も減っていきます。それは観に来るお客さんの数が減ることを意味します。また、吉本新喜劇の全国的な広がりに伴ってメンバーのファンも多様化してきています。

 

こうした事情を考えれば、多様な需要に対応できるように事務所として手を打っていくのが自然だと思うのですが、吉本興業はそうしたことを一切せずに運営側の懐に入る事しかしたくないのでしょうか。そんなことをしていては吉本興業の寿命はますます短くなり、下手すれば10年保って良いほうなのかもしれません。

 

 しみけんさんの座長就任については個人的な意見として、あるとすれば2018年か2019年になるのではないかと思います。もし来年就任することになった場合、7月16日(清水けんじさんの誕生日)以降に座長就任記念公演を行えば、今回とは逆に「史上最年長」(43歳)での座長就任ということになります。

 

また2019年吉本新喜劇誕生60周年という記念すべき年にあたります。すっちーが座長に就任した2014年は吉本新喜劇誕生55周年だったため、吉本新喜劇誕生55周年の記念行事としての要素も含まれていたと考えられます。もし再来年に就任することになれば、「史上最年長座長」になる事に加えて吉本新喜劇誕生60周年記念行事という動機付けにもなります。

 

しみけんファンの皆さんにとっては複雑な気持ちになるとは思いますが、可能性を信じて地道に応援し続けることが一番大切だと思います。

 

 

 一方でここ最近になって「しみけんは無理に座長になる必要はないのではないか」との声が少ないながらも挙がってきています。実は一度座長になると他の座長の回には原則出演しないという「制約」がかかってくるのです。

 

藍ちゃんの人気はすっちーや小籔さんなどとの共演によって作られてきた部分もあります。座長になることはこうした共演の機会が激減することを意味します。しみけんさんの人気も小籔さんと川畑さん、そしてすっちーとの共演による所もかなりあり「名脇役」との評価も少なくありません。

 

今回の藍ちゃんの座長就任で当の本人は相当落ち込んだことだと思います。しかし、確実に実力はついていますしファンの数も増えてきています。しみけんさんの思いが運営側に届くよう、ファンの皆さんは全力でしみけんさんを支えてあげましょう。

 

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5月30日(火)~6月5日(月)のNGK公演ではすっちーに加え内場勝則さんも出演する予定だ。貴重な共演の機会を目に焼きつけておこう。

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もはや「伝説」ともいわれる内場さんと辻本さんの共演。再生回数はのべ150万回を超える。

 

 

 もう一つ気になるのが、しみけんさんと同様に高い人気を誇るアキさんの座長就任についてです。アキさんが座長就任を目指しているということについては昨年9月の記者会見で辻本さんが明らかにしています。

 

 

アキさんに関してはこれまで数回にわたって「Joy!Joy!エンタメ新喜劇」と題してイベントを開催してきました。その中でかなり早い段階で、座長になる上で重要といえる桑原和男師匠からの「お墨付き」を得ていたといいます。その桑原師匠のお墨付きを無視するということは、吉本新喜劇を運営する人たちにとって桑原師匠の影響力は低下しつつあることを意味しているのかもしれません。これは明らかな暴挙と言っていいと思います。

 

もしアキさんが座長に就任することになれば、しみけんさんと同様に「史上最年長」での就任となります。こちらも可能性としては、2018年か2019年になるのではないかと思います。

 

これからの吉本新喜劇の全国的な広がりにおいて、ダンスパフォーマンスを交えた新しいスタイルの新喜劇は魅力的なコンテンツに映るはずです。吉本興業がこれを一切無視することになれば、絶望としか言いようがありません。しみけんさんと同様に、アキさんのファンの皆さんも全力でアキさんを支えてあげましょう。

 

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9月20日(水)に今年2回目の公演が行われる「Joy!Joy!エンタメ新喜劇」。アキさんの魅せるダンスパフォーマンスは圧巻だ。

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座長のキャパシティの増加と全国化への布石

 今回の藍ちゃんの座長就任で、座長は合計6人となりました。実は過去に、これよりも多い8人体制で新喜劇が行われた時期があることをご存じでしょうか。

 

 2012年4月1日、吉本興業は創立100周年を迎えました。それを記念した行事の一つと言っていいと思いますが、4座長に当時副座長だったすっちー、さらに清水けんじ・烏川耕一・高井俊彦の3人を加えた『8座長体制』が2012年4月からすっちーが座長に就任する2014年6月までのおよそ2年2ヶ月にわたって続いたのです。

 

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 清水けんじさんが「座長」として初めて行った公演の詳細(中央)。以後、2年2ヶ月にわたって『8座長体制』が続いた。

 

ここから考えられるのは、8座長公演を行うことが出来るキャパシティは十分あると言うことです。吉本新喜劇の通常公演は火曜日(小籔座長のみ水曜日)を起点にしてスケジュールが組まれます。12ヶ月のほとんどは4週間しかありませんから、藍ちゃんの座長就任以降は毎月全ての座長の公演を見られるということが出来なくなるのです。

 

しかし、現在小籔さんは東京でのテレビ出演を軸にしておりすっちーさんも関西のテレビ番組に多数出演し実質「3.5人体制」といえるような状況になっています。今は2012年当時と違って全国公演もありますし夜の特別公演も増えてきています。つまり、座長一人に対する負担がかなり重くなってきているのです。これほどタイトなスケジュールが続けば、やがて体調を崩し公演が出来なくなってしまう恐れがあります。

 

 そこで、藍ちゃんに加えてしみけんさん・アキさんを座長に就任させ、『8座長体制』を復活させることで座長一人にかかる負担を減らそうではないかという考えです。『8座長体制』になればより多くのファンに吉本新喜劇を見てもらえる事に繋がりますし、スケジュールに少しだけ余裕を持たせることで自分のギャグやお芝居を吟味する時間を捻出できるのではないでしょうか。

 

また、内場さん・辻本さんに関しては今後座長を引退する可能性が考えられます。その引退による落ち込みをうまく持っていくことも併せて出来るのではないかと考えています。

 

さらに、座長が多い分より多くの若手座員が必要になってきます。つまり、オーディションの実施が必須となってくる訳です。現在、金の卵オーディションの合格者は藍ちゃんを含め68人います。オーディションでより多くの若手座員を採用すればこれまで行われていなかった東京や東日本で公演をする余裕が出て来て、吉本新喜劇の全国化をさらに推し進める事が出来る良いきっかけになるのではないでしょうか。

 

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なんばグランド花月の公演形態を東京で年に1回行う「東京グランド花月」。今年は初めて内場座長の班が吉本新喜劇を務めた。

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おわりに

重ねて申し上げますが、藍ちゃん自身は何も悪くありません。また、何の罪もなく責める理由もありません。 

今回の就任で藍ちゃんは女性初そして金の卵オーディション出身者として初めての座長となりました。

 

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大阪市天王寺区にある生國魂神社で、緊張した様子で奉告祭に臨む酒井藍さん。

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 今回は賛否両論を呼ぶ座長就任でしたが、藍ちゃんの座長就任は若手座員の座長への道を切り開く重大な一歩となりました。藍ちゃん自身も記者会見の中で「元気いっぱいパワーいっぱいはもちろん、お客さんもやっている側も全員が楽しい新喜劇を作っていきたい」と決意を新たにしていました。

 

私はこの言葉を信じて、藍ちゃんが吉本新喜劇の全座長の架け橋となりそしてこれまで以上に新しい風を吹かせていってほしいと思います。精一杯藍ちゃんを応援していきたいと思います。

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

参考資料