新喜劇タイムズ

吉本新喜劇についていろいろ考えるブログです。

『よしもと新喜劇お正月スペシャル』について考える

 吉本新喜劇では毎年12月に恒例の「よしもと新喜劇お正月スペシャル」が開催されます。

 しかし、近年のお正月スペシャルの動きをめぐって異変が起きています。新喜劇の内部で一体何が起きているのでしょうか。

 

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 

 

今年(2017年)のお正月スペシャルについて

 今回のお正月スペシャルは、2014年の「西遊喜」以来3年ぶりに辻本茂雄座長がカムバックし、大盛況のうちに終了しました。

 

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よしもと新喜劇お正月スペシャルに3年ぶりの出演となった辻本茂雄座長。森田展義・アキ(水玉れっぷう隊)と共に登場し、「新ローテーショントーク」を披露した(画像は毎日放送(MBS)のサイトより)。

 

 

今回のお正月スペシャルの出演者は以下の通りとなりました。

 

【座長】

 内場勝則辻本茂雄、すっちー、酒井藍、川端泰史

【男性座員】

 池乃めだか島田一の介Mr.オクレ青野敏行、アキ(水玉れっぷう隊)、烏川耕一、西川忠志清水けんじ高井俊彦今別府直之、吉田裕、太田芳伸、佐藤太一郎、松浦真也森田展義信濃岳夫、清水啓之、新名徹郎、奥重敦史、諸見里大介

【女性座員】

 浅香あき恵、末成由美若井みどり、未知やすえ、山田花子島田珠代宇都宮まき前田真希、井上安世、金原早苗、森田まりこ前田まみ、服部ひで子、岡田直子、小寺真理、松浦景子

 

 

 この『よしもと新喜劇お正月スペシャル2018』は、なんばグランド花月のリニューアル工事などの影響に伴い、開催日が12月26日(火)とこれまでで最も遅い実施となりました。

 

今回はポスター・詳細な出演者に関する発表は当日まで無く、事実上のサプライズ発表となりました。それだけに、今回辻本座長が3年ぶりに出演されることに対するファンの期待は大きく、満足度は高かったことでしょう。

 

 

 この模様は毎日放送(MBS)にて、2018年1月3日(水)の午後2時30分から90分にわたって放送されますので、近畿広域圏の方は放送をお見逃しなく。

また、その他の地域でも順次遅れネットで放送する場合がありますので適宜番組表をチェックして下さいね。

 

 

 

 

 

 

お正月スペシャルから見える吉本興業の思惑

 今回のお正月スペシャルでは座長として唯一、小籔千豊さんは出演しませんでした。情報によれば、出演されていたドラマ「陸王」の打ち上げに参加されていたとのことです。

 

 

 全座長共演は2012年のお正月スペシャルの公演を最後に実現していません。今回も小籔さんの不在により、5年連続で全座長共演とはなりませんでした。

 

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よしもと新喜劇お正月スペシャル2011の公演に先立ち、記者会見する内場勝則辻本茂雄小籔千豊・川端泰史座長。中央は当時『トイレの神様』が大ヒットした歌手の植村花菜さん。

 

 

 2013年・2014年は小籔千豊座長が、2015年・2016年は辻本茂雄座長が不在となり不仲説が指摘される二人の間を中心に、新喜劇内部で分断が起きている状況が鮮明となりました*1

 

また、新喜劇メンバーのお正月スペシャルの出演においても、内部で差別化が起きているのではないかと指摘されています。

 

 

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 今回のお正月スペシャルに関しても、通常公演で内場さん・辻本さんの回に多く出演されているメンバーがほとんど出演しませんでした。そのため、新喜劇内部で依然として分断が続いている状況が垣間見えます。

 

 

 お正月スペシャルのキャスティングには、運営側の強い意向が反映される傾向があります。小籔座長以降の4座長を推したい運営側としては、内場さん・辻本さんの回に出演されているメンバーをお正月スペシャルで共演させないことで、4座長の回に出演されているメンバーに注目が集まるようにしたいのでしょう。

 

 

 一方で今回、お正月スペシャルに辻本座長が出演したことで運営側が辻本座長のファンに一定の配慮をしているように見えます。

 しかし、直前の12月22日(金)には「年末だよ!!吉本新喜劇特別公演!」と題して4座長公演が行われています。

 

 運営側としては4座長を推して世代交代を進めたいにもかかわらず、辻本座長の人気が依然として高いためプロモーションに苦労している様子がうかがえます。

 

 

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 吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 内場さんは57歳、辻本さんは53歳と世代交代に伴う座長の入れ替わりの時期に差し掛かっていることは確かでしょう。しかし、それを「吉本興業が率先して行う」というのは間違っているのではないでしょうか。事務所からの圧力などが一切なく、本人の意志だけで行われるべきものではないでしょうか。

 

また、新喜劇メンバーとりわけ若手メンバーの間でもお正月スペシャルでの共演において分断が進みつつあります。吉本新喜劇の将来を担う若手メンバーにおいて早い段階から分断される状態が、新喜劇の未来のためになるのでしょうか。

 

状況が改善されることを祈ります。

 

 

 

 

 

お正月スペシャルに対する批判

 こうした出演メンバーに対する事案に加えて、お正月スペシャルのチケットの発売方法にも批判の声が上がっています。

下の表はこれまでのチケット料金の推移です。

 

 

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 2010年からの7年間で最大2,000円も値上がりしていることがわかります。さらに、このお正月スペシャルはチケットを発売するにあたって、出演者を一切発表しません。

 

 こうした発売方法が災いし、前回(2016年)の公演では「5,500円ものチケットを出しておきながら出演者が少ないのはどういうことなのか」「買わなくて正解だった」などとツイッター上を中心に批判の声が殺到しました。

 

今回は、チケット料金については据え置かれ、出演者が辻本さんを含めやや微増したこともあり、不満の声は聞かれませんでした。

 

一連のチケットの発売手法に関しては、「キャストをわざわざ発表しなくても売れる」という吉本興業の近年の新喜劇ブームに対する驕りの姿勢が垣間見えます。

それと同時に、キャストを発表してしまうと出演者によって売り上げが目に見える形で大きく変動することに対する吉本興業の恐怖心の表れともいえるでしょう。

 

 吉本興業には、こうした寄席興行はお客さんとの信頼関係で成り立っているという基本中の基本を忘れないでほしいと思います。

 

 

 

 

吉本新喜劇の明るい未来のために

 2017年は、酒井藍さんが”女性初”の座長に就任したり、内場勝則さん&辻本茂雄さんが通常公演では7年ぶりとなる共演を実現、さらに吉田裕さん・信濃岳夫さん・諸見里大介さんによるリーダー公演や数多くの新喜劇座員による単独イベントが実施されるなど、吉本新喜劇の盛り上がりはこれまで以上のものとなりました。

 

 2018年が新喜劇座員およびファンの皆様にとって、明るく平和で笑顔があふれる素敵な一年になりますこと、そして新喜劇座員一同が笑顔で揃って共演できるひと時が訪れますことを願っております。

 

 

   新喜劇タイムズの今年の記事については、今回が最後となります。記事のアップロードにつきましては、停滞していた時期が時折ありましたことをお詫び申し上げます。

 

 来年2018年につきましては、なるべくゆっくりとしたペースで吉本新喜劇についての”個人的な考え”を書いていくことが出来ればと思います。

 

 

 2018年も新喜劇タイムズを何卒よろしくお願い致します。

 

 

 

 

 

おわりに

 

最後に、吉本新喜劇に関するデータを紹介します。

 

・新喜劇座員比率(性別)

 男性が依然として多いことがよく分かります。吉本新喜劇はまだまだ「男性社会」のようです。

 

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※2017年12月20日現在

 

 

関連記事

 

 

・新喜劇座員比率(世代別)

 30代が最も多く、10代~30代の若手座員を合わせると全体の約6割を占めます。吉本新喜劇はこうした若手座員の絶え間ない努力によって支えられているのです。

 

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※2017年12月20日現在

 

 

 

 

 

・金の卵オーディション出身者の比率

 今年新しく入団した金の卵第9個目が一番多いですね。来年には金の卵オーディション第10個目が行われる予定です。人数の比率は一体どう変わるのでしょうか。

 

 吉本新喜劇は若手座員が退団するケースが多いということは以前の記事でも言及しましたが、皆さんの活動が出来るだけ長く続く事を祈るばかりです…。

 

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※2017年12月20日現在

 

 

 

関連記事

*1:但し、2015年のお正月スペシャルに関しては連続テレビ小説『あさが来た』の撮影もあったため、スケジュール調整が難しかったのではないかとの指摘もある。

吉本新喜劇の公演の在り方について考える

 吉本新喜劇は現在、大阪・なんばにある「なんばグランド花月」と京都にある「よしもと祇園花月」を拠点に活動しています。

 

 吉本新喜劇は昼公演はもちろんですが、最近では夜公演も行う事例がよく見受けられるようになっています。ここ最近の公演数の増加は一体何を意味しているのでしょうか。

 

 

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なんばグランド花月の休館に伴い、新しくオープンしたよしもと西梅田劇場で代替公演を行う旨のチラシ。

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様々な新喜劇が繰り広げられる夜公演

 9月6日(水)と7日(木)になんばグランド花月で、『酒井藍としんきげき10』*1が行われました。

 

 

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 このイベントは毎回異なる10人が主役となって、新しいスタイルの新喜劇を作っていくというイベント『しんきげき10』に吉本新喜劇座長の酒井藍さんを迎えて行うというもの。

通常の新喜劇ではなかなかお目にかかれないメンバー同士の組み合わせで行うという事もあり、かなり斬新なイベントでした。

『しんきげき10』は今年の4月から月1回のペースで行われ、この『酒井藍としんきげき10』をもって幕を閉じました。

 

 

 吉本新喜劇の夜公演はこうした若手座員の育成に特化したものも含め、数多く行われています。イベントの種類を挙げると以下の通りになります。

 

  • 本公演の夜バージョン
  • よしもと新喜劇90(または100)
  • 単独イベントおよびライブ
  • 特定のコンセプトの下で実施される新喜劇

 

 

1、本公演の夜バージョン

 これは昼間に行われている本公演を少しアレンジしたもの。

本公演と同じく漫才・落語→吉本新喜劇というプログラムの基本的な流れは変わりませんが、前半の漫才・落語の部分が本公演の時より少し時間が短いのです。

 

ベテラン漫才師の出演無し、落語のパートが無いことが時間が短くなる理由です。そのため本公演では終演まで2時間以上かかるところが、この夜公演では1時間40分ほどと20~30分ほど短くなるのです。

 

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「よるも楽しめるグランド花月」として実施される本公演の夜バージョン公演。チケット料金が本公演よりも安いということなどもあり人気がある(本公演のチケットは前売:4,200円 当日:4,700円が基本料金。)。

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2、よしもと新喜劇90(または100)

 これは吉本新喜劇だけを90分(100分)行うという趣旨のイベント。

流れとしては、吉本新喜劇トークコーナー→ズッコケ体験・プレゼントコーナーとなります。

 

トークコーナーで座員たちのプライベートや舞台裏が聞けること、連日よしもと祇園花月で行われている「ズッコケ体験」をNGKで出来るというスペシャルな要素が多く含まれていることから、熱狂的な新喜劇ファンを中心に人気があります。

 

ちなみに公演の最後に実施されるプレゼントコーナーというのは、吉本新喜劇の本公演と同じ出演者全員のサインが書かれた色紙を抽選で選ばれたお客さんにプレゼントするというもの。とてもレアなサイン色紙ですので、抽選で選ばれたらラッキーですね。

 

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よしもと新喜劇90・100のチラシ。熱狂的な新喜劇ファンを中心に人気があるため、客層や雰囲気が大きく異なる。また、よしもと新喜劇100は辻本座長の回に実施されることが多い。

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3、単独イベントおよびライブ

 これは特定の座員を主役に据えて実施されるイベント。なんばグランド花月・道頓堀ZAZA HOUSE・よしもと祇園花月の3カ所で実施される場合がほとんどです。

 

公演の内容は多種多様で単に新喜劇だけをやるものもあればコント・漫才を披露するもの、トークコーナーや別企画を設けるものもあります。

 

きちんとした舞台で行うなんばグランド花月よしもと祇園花月での単独イベントと、簡素なステージで行う道頓堀ZAZA HOUSEでの単独ライブ、この2つのスタイルのイベントが新喜劇ファンの増加・多様化に拍車をかけています。

 

これらのイベントは主役となる座員のファンを中心に人気があり、イベント毎にそれぞれの座員のファンが連続して見に来ることもあり、かなりマニアックなものとなっています。

 

自分の推しの座員の新たな側面を見てみたい、そんな方におすすめなイベントです。

 

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単独イベント・ライブの一例。上はなんばグランド花月、下は道頓堀ZAZA HOUSEで実施されたもの。

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4、特定のコンセプトの下で実施される新喜劇

 これは文字通り特定のコンセプトに沿って行われる新喜劇のイベントです。

 

過去にはロミオとジュリエットを大胆にアレンジした『ロミオとジュリエット吉本新喜劇』、女性座員にスポットを当てた「女だらけの吉本新喜劇」シリーズが公演されました。

 

このイベントは開催期間が長いのが特徴で、吉本新喜劇の本公演+複数日にわたる夜公演という新喜劇座員にとっては非常にハードなものとなります。

 

開催期間が長いため観客にとっては観に行く日を幅広く選べるメリットがありますが、多く開催される分、新喜劇座員の想像以上の努力の数々がその裏にあることを忘れてはならないでしょう。

 

 

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「女だらけの吉本新喜劇」シリーズ第3弾となる『女子アナ新喜劇』。毎日放送の女性アナウンサーが日替りで出演した。

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よしもと西梅田劇場オープンとNGK休館

 今年9月25日、JR大阪駅近くにある西梅田スクエアに「よしもと西梅田劇場」がオープンしました。

 12月20日までは工事中のなんばグランド花月の代替施設としての役割を担います。

 

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オープン記念の記者会見に出席する出演者たち。

吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

  12月21日以降も公演が継続して行われることが決まっており、よしもと西梅田劇場自体は2018年8月25日までの期間限定の運用となります。

 

 ただ、よしもと西梅田劇場が建っている西梅田スクエアは現在も日本郵便の所有地となっており、いわば土地を借りる形で劇場運営に関する契約が結ばれています。そのため、今の状態では2018年8月26日以降は公演を行うことが出来ず劇場を撤去しなければいけない状況になっています。

 

このような状況にあるため、吉本興業は「契約延長も視野に入れ、常設劇場を目指したい」として契約の更新に前向きな考えを示しています。さらに、こんな話もあります。

 

 

 吉本には大きな戦略がある。旧大阪中央郵便局跡のYNT敷地は日本郵便、ひいては総務省所管の国有地。将来はここに大規模ビル開発が予定されており、階下に現在と同規模以上のNGKに匹敵する劇場をレイアウトしてもらう計画。 匿名を条件にある幹部は「吉本にとって芸人を抱えるだけでなく、彼らが実際に手見せ(舞台で実演)する大小いろいろな劇場の存在は不可欠。同じ大阪でもミナミのNGKとキタのYNTでは、お客さんの笑うツボが違うんです。これが芸人を育ててくれる」と打ち明けた。

 首都圏では東京をはじめ、埼玉や千葉に常設劇場があり、同社には東京育ちの芸人も多い。「東京の彼らがYNTでドカンと受けると、NGKと本当の意味で大阪吉本にとって車の両輪になってくれる」と青写真を描く。

 同社は来夏までYNTに有名どころの芸人を出演させ続ける計画。「動員数字を見て、日本郵便総務省に“西梅田の新ビルのにぎわいに吉本は欠かせない”と言っていただける自信があります」と、地域に懸ける思いは極めて熱い。

 ー キタの拠点 よしもと西梅田劇場、開場1カ月(大阪日日新聞)

 

 

 しかし、この点については契約延長の際に行われる日本郵便との話し合いの結果次第で大きく変わってくるのではないかと思います。今後の動向を注視していく必要がありそうです。

 

 

 

さて、よしもと西梅田劇場の公演内容についてですが、12月19日現在昼公演は「限定!おでかけなんばグランド花月」が行われており、夜公演は「よるもおでかけグランド花月」が実施されています。なお、単独イベント・ライブ等は実施されません。

 

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

上が「よるもおでかけグランド花月」のスケジュールと出演者を記載したチラシになります(このチラシは10月に行われる内容を記載したもの。)。

 

 よく見ると、月曜日を除いてひっきりなしに夜公演が行われていることが分かります。月曜日は吉本新喜劇の公演最終日、いわゆる「楽日」と呼ばれる日です。この日は次週の吉本新喜劇の稽古を夜間に行わないといけません。

もしこの日に夜公演をやってしまうと稽古の時間が後にずれて、翌日以降の公演に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、月曜日は夜公演の実施日から外されているのです。

 

 ところで、なぜこれほど多く本公演の夜バージョンである「よるもおでかけグランド花月」が実施されているのでしょうか。

 

 今年7月になんばグランド花月の長期にわたる工事の実施が発表され、9月25日~12月20日のおよそ3ヶ月間にわたって休館となっています。そのためNGKが休館中は別の劇場、すなわちここではよしもと西梅田劇場を作って収益を確保する必要があります。

 

なんばグランド花月の裏口で出待ちをされた方の中には、新喜劇で使われるセット等が運び出される様子を見たことはないでしょうか。なんばグランド花月にはそれらのセットを数多く保管できるスペースがありますが、よしもと西梅田劇場にはありません。これは、新喜劇座員による単独イベントが実施できないことを意味します。

 

 

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よしもと西梅田劇場の関係者用出入口の様子。楽屋はプレハブ小屋という簡素な作りである。

 

 

 それにより、夜公演の数が減ってしまいますから「よるも楽しめるグランド花月」のように飛び飛びで行うわけにはいけません。

そこで、「よるも楽しめるグランド花月」の公演形態をそのままよしもと西梅田劇場に持ち込んだ「よるもおでかけグランド花月」を月曜日を除き連日実施しているのです。そうすれば、収益の減少もなく安定した劇場運営を行うことが出来るのです。

 

12月21日のなんばグランド花月リニューアルオープン以降は、公演形態も大きく変わりよしもと西梅田劇場のオリジナルプログラムとして再スタートします。どのように公演形態が変わるのか注目ですね。

 

 

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なんばグランド花月 RE-OPEN記念特別公演」の記者会見に出席した出演者たち。吉本新喜劇では本公演において2010年以来7年ぶりとなる内場勝則&辻本茂雄のW座長公演がお披露目される予定である。

吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 公演数増加の意味とは?

 ここ最近の公演数の増加は、一体何を意味しているのでしょうか。

 下の円グラフは1999年吉本興業の事業内容の比率について示したものです。

 

 

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 円グラフのうち、赤が劇場に関する事業比率を示しています。一番多いのは”メディア”(青の部分)で、全体の6割を占めています。

 

 劇場の事業比率は1999年当時、メディア・不動産賃貸に続き3番目に大きいものであったことが分かります。残念ながら、現在の状況については資料がないため不明ですが事業比率が大きく変わっている可能性はあります。

 

 ここ数年のテレビ事業においては、世代を問わないテレビ離れによる視聴率の低下・広告料の伸び悩み・コンテンツの多様化を背景に緩やかに縮小傾向にあります。つまり、その減収によるしわ寄せが劇場運営にのしかかっている結果、公演数の増加に繋がったのではないかという事です。

 

 基本的な公演スケジュールは平日2回・土日祝日3回となっており、夜公演は実施を前提としたスケジュールに組み込まれていません。しかし現在では毎日のように夜公演が行われており、新喜劇座員にとって大きな負担となっています。

 

 総人口が緩やかに減少しつつある日本。

 日本人向けに大きな需要がある漫才・吉本新喜劇ですが、今後人口が減り続ければコンテンツの維持は徐々に難しくなっていきます。そうしたコンテンツの維持につなげるためにも、夜公演の休演日を設けて新しい芸を磨くための時間を捻出して余裕を持たせるなど、何か手を打つことは出来ないのでしょうか。

 

 

 

 

 

需要と供給のバランスを

 ここ最近の夜公演の増加は、仕事終わりのサラリーマンやOLなど昼公演を観に行くことが出来ない人たちに機会を与えると同時に、新喜劇においては各座員のファンの増加など新たな需要を生み出しています。

 

 

 しかし、これらの取り組みもやり過ぎたら意味がありません。夜公演が出来る状態にあっても、出演者の体調不良により中止に…。そんな事態に観客の皆さんは遭遇したくないことでしょう。

 

 

 吉本興業には劇場運営において、適切な頻度での夜公演の実施と共に出演者が体調を崩すことのないよう余裕のあるスケジュール編成・管理を徹底して欲しいと思います。

 

 

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*1:6日(水)は諸見里大介さんが、7日(木)は信濃岳夫さんがそれぞれ交代で出演。

朝ドラ「わろてんか」について考える

今回の記事は少し趣向の異なった内容です。

 

 

 今年10月に放送がスタートした、NHK連続テレビ小説わろてんか』。

 

このドラマは、あの吉本興業の創業者・吉本せいをモデルに小さな寄席経営から始まり、やがて日本全国の人々を笑わせていくまでをコミカルに描いています。

ここでは、今回なぜ朝ドラで吉本興業の創業者の物語が描かれることになったのかについて考えます。

 

 

 

www.nhk.or.jp

 

 

 

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NHK 

 

 

 

 

笑いを商売に ー 寄席経営から始まる夫婦の物語

 今回『わろてんか』では寄席経営を始める主人公の北村てんを葵わかなさん(下画像・右)が、てんの夫で寄席「風鳥亭」の席主の北村藤吉を松坂桃李さん(下画像・左)が演じています。

 

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 初回(10月2日)で20.8%*1の高視聴率を記録して以降、週平均でおおむね20%前後を維持し続いている「わろてんか」ですが、この朝ドラがスタートする前に一つ話題になっていたことがありました。 

 

 

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 実はこの「わろてんか」に吉本新喜劇内場勝則座長が出演するという事で話題になっていたのです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

  内場さんがこのNHK連続テレビ小説に出演するのは1999年の「あすか」以来18年ぶりとなります。

 内場勝則座長が演じるのは、つぶれてしまった寄席の元席主・亀井庄助。のちに「風鳥亭」の従業員の一人として藤吉とてんを助ける重要な役目を担っていくことになります。

 

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わろてんか」における重要人物の一人・亀井庄助(内場勝則)。彼の細かな動作や表情にも注目してみよう。

 

 

こうした個性的な登場人物たちによって繰り広げられる「わろてんか」ですが、この「わろてんか」のモデルとなった吉本せいは実際どんな人物だったのでしょうか。

 

 

 吉本せいは1889(明治22)年12月5日に兵庫県明石市で米穀商の三女として生まれます。そして1910(明治43)年に大阪市東区(現在の中央区)内本町橋詰町の「箸吉(はしよし)」*2の二男・吉本吉兵衛(後に吉本泰三と改名)と結婚します*3

 

 

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 吉本興業創業者の吉本せい。1932年から16年にわたって吉本興業の初代社長を務めた。

 

 

  1912(明治45/大正元)年に吉本吉兵衛・せい夫婦は天満天神近くの寄席「第二文芸館」を買収、寄席経営の第一歩を踏み出します。その後も次々と寄席を買収し、現在のような寄席のチェーン化を進めていきました。

そして、これが後の『吉本興業』へと発展していくことになります。

 

 

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吉本吉兵衛・せい夫婦が1912年に買収した寄席「第二文芸館」。吉本興業の歴史はここから始まった。

 

 

 ちなみに、劇場の名前によく付けられている”花月”という名称は、1915(大正4)年に当時の南地法善寺にあった「蓬菜館(旧・金沢亭)」を買収した際に「南地花月」と名づけた事から始まったといわれています*4

 

 

 

 

ドラマ化が意味するものとは?

 

 NHK朝の連続テレビ小説は、時折実在の人物を基に物語を再構成しドラマ化して放送することがあります。

 

最近では波瑠さん演じる白岡あさが主人公の『あさが来た』(2015年秋~16年春)、芳根京子さん演じる坂東すみれが主人公の『べっぴんさん』(2016年秋~17年春)はいずれも実在の人物が主人公のモデルとなっています。

 

白岡あさのモデルは大阪を拠点に活動した実業家の広岡浅子、坂東すみれのモデルはアパレルメーカー・ファミリアの創業者の一人、坂野惇子です。職業に注目してみると、いずれの二人も日本経済の発展に大きく貢献した人物である事が分かります。

 

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平均視聴率23.5%(ビデオリサーチ調べ)と今世紀最高の視聴率を記録した『あさが来た』。吉本新喜劇座長の辻本茂雄さん演じる山崎平十郎、通称へぇさんの出演も話題となった(画像は週刊女性の記事より)。

 

 

こうした日本の発展に尽力してきた偉人に対してはその功績が高く評価されています。その一方でお笑い芸人に対しての評価は職業柄、低く見られる事も少なくありません。

 

これまで実在の人物を基にして朝ドラが制作される場合、そのモデルのほとんどは芸能関係者以外でした。

 

しかし、今回NHK吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにした『わろてんか』を制作・放送することは吉本興業は日本の芸能文化の発展に貢献してきた」という、NHKからの高い評価を含んだメッセージであると考える事が出来るのです。

 

一方、今年(2017年)は吉本興業の創業105周年という節目の年でもあります。今回の「わろてんか」は”吉本興業創業105周年記念ドラマ”という位置付けで制作に至った可能性も考えられるのです。

 

 

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吉本興業が創業105周年にあたって発行した社史「吉本興業百五年史』。価格は税込みで11,340円である。

吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

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連続テレビ小説わろてんか」・京都編のキャストたち。発表は今年(2017年)4月に行われた。

 

 

 

原点に立ち返り今を見つめる

 

 現在の吉本興業の運営体制に対しては、強権的な経営手法および金銭的な面で批判されることが多々あります。

今回の「わろてんか」は物語を再構成しているため脚色された部分も多く、実際の吉本せいの人生に沿ってストーリーが展開されているわけではありません。

 

この「わろてんか」を通して創業者はどういう思いを抱えていたのか。そして創業者の人生を通して現在の吉本興業の経営手法の在り方について見つめ直し、どう変わっていくべきなのか。一人でも多くの方が考えるきっかけになる事を願っています。

 

 

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*1:関東地区。ビデオリサーチ調べ。

*2:高級料亭に箸を納める老舗荒物問屋でした。

*3:吉本せい - Wikipedia

*4:吉本興業ヒストリー|吉本興業株式会社 1915年の欄。

吉本新喜劇オーディションについて考える

 近年吉本新喜劇が注目されている中で「新喜劇の座員になってあこがれの舞台に立ちたい」、そう思う人は少なくないのではないでしょうか。

 

現在、吉本新喜劇に入団するためには原則オーディションに合格しないと入団することは出来ません。でも、そんなオーディションの事についてあまり深く考えたことはないのではないでしょうか。

 

そこで今回は吉本新喜劇で不定期に開催されている一連のオーディションについて考えてみたいと思います。

 

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 

 

過去最高の合格者数を出した”金の卵9個目オーディション”

 5月7日(日)に行われた「小籔・川畑・すっちー 3座長新喜劇特別公演 vol.3」のエンディングで、今年1月から2ヶ月間にわたって開催された金の卵9個目オーディションの合格者がお披露目されました。

 

 

 

 

 

 

 今回のオーディションの合格者数はこれまでで過去最高の17人となりました*1

 

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今回のオーディションにおいて、なぜこれほどまで多くのメンバーを採用したのでしょうか。

 

 

 

吉本新喜劇は現在、西日本を中心に地方公演が行われていたり、東京公演が年に一回行われているように徐々に関西から全国区に拡大しつつあります。

 

各地で公演が行われるとなると本公演と地方公演の間でのメンバーの調整が重要になってきます。

その際、調整できるメンバーの数が少ないと公演に支障をきたす恐れがあります。

 

その為に、人数を増やして余裕をもたせる、吉本新喜劇をさらに全国区に広げる事を意識して吉本興業は今回のオーディションでこれほどの人数を採用するに至ったのではないかと考えています。

 

 新喜劇タイムズでは今回、このうち2人の男性座員に注目しました。

 

 

 1人目はジャボリ・ジェフさんです。

今回の入団でジャボリさんは、吉本新喜劇58年の歴史において初の外国人男性座員となりました。

また、合格時の年齢としては最高の42歳での入団となりました(これまでの最高は後藤秀樹さん【金の卵6個目】の40歳《2012年当時》。)。

 

 

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 吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

  ジャボリさんはアメリカのコロラド州出身。アメリカ人の両親のもとで育ち、8歳の時から始めたテコンドーで、21歳の時に全米3位を記録。吉本新喜劇で現在の座長体制がスタートした1999年に来日し、外資系の人事として東京で働いていたといいます。

 

その後、人材紹介業など職を転々としたのち、昨年末に大ファンだった吉本新喜劇のオーディションの告知を見つけ応募。今回の入団に至りました。

 

 

 

吉本新喜劇の舞台ではこれまで、ブラジル3兄弟シリーズに代表されるように外国人の役をいずれも日本人が演じてきました。

今回のジャボリさんの入団によって、吉本新喜劇の公演における外国人の役の表現の仕方が今後徐々に変わっていく事があるかもしれません。

 

吉本新喜劇はあくまで日本人を対象にした芸能ですが、今回のジャボリさんの入団を機に今後オーディションで外国人が入団する可能性は必ずしもないとはいえません。

 

日本在住の外国人が急増する中でこれからどれくらい吉本新喜劇グローバル化が進む可能性があるのか考えてみる必要がありそうです。

 

 

 

 2人目は永田良輔さんです。

 

永田さんは入団される前に俳優として「時効警察」シリーズなど数多くの刑事ドラマに出演されていました*2

 

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 吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

永田さんはこのお披露目の際に、「怪しく中性的な雰囲気の男の子でいきたい」と述べました。

 

 

 吉本新喜劇ではこれまで中性的な性格を持つ人物が登場する場合、ほとんどが女装した"オネエ"の類に入る人の役でした。

 しかし、現実には同じような人物全員が女装をしているわけではありません。

 

 今後、永田さんがどのような形で起用されていくかはまだ分かりませんが、吉本新喜劇のストーリーの中でLGBTに関する描写が増える事があるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

吉本新喜劇オーディションの歴史

 今回、過去最高の合格者数を出した「金の卵9個目オーディション」ですが、そもそも現在のようなオーディションはいつから始まったのでしょうか。

 

 

1959年に吉本新喜劇が旗揚げされて以降、入団する際は「研究生」として入団する形がとられてきました。

 

しかし1988年、期限までに観客動員数が目標値に達しなければ吉本新喜劇自体を廃止にするという、いわゆる『新喜劇やめよっカナ⁉︎キャンペーン』が展開されることになります*3

 

この際に、当時の吉本新喜劇のベテラン勢が退団や脇役にまわるなどして初めての世代交代が起こり、システム自体も大きく変わることになります。

 

 

1990年代以降、吉本新喜劇の座員を募集するオーディションが不定期で実施されるようになりますが、当時は現在とは違う名前でオーディションが実施されていました。

 

 ―当時は吉本新喜劇ジュニア(YSJ)ですね。
その時のオーディションで受かったのが、7人で今も5人残ってます。
五十嵐サキちゃん、伊賀健二秋田久美子ちゃん、今東京へ行ってる国崎恵美ちゃん、そして僕ですね。
何年かぶりのオーディションで、僕らの上が藤井(隆)兄さんで、僕らのあとはオーディションがなくて、師匠の弟子から来た人とか、その後、NSC新喜劇コースの今別府とか、それから金の卵という感じですね。

よしもと新喜劇 座員紹介 第51回 山田亮 |MBS

 

 

 その後、2004〜05年にかけて第1回目の金の卵オーディションが実施され現在に至ります。

 

次のオーディションがいつ開催されることになるのかは分かりませんが、今後の座員の人数の変化等を考えると、短くても2年後あたりに開催されることになると思います。

 

 

 もし、入団を考えている方がいましたら今から次のオーディションに向けて着実に準備を進めていきましょう。

 

 

 

吉本新喜劇にはNSC出身者が多い?

 

 現在、約100人ほどの座員を抱える吉本新喜劇ですが、金の卵オーディションにおいて一般からの入団に加えて吉本のお笑い学校『吉本総合芸能学院(NSC)』からの入団者も大勢います。

 

 

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 この人数の比率は一体何を意味するのでしょうか。

 

 

 NSCについては知っている方もいるかもしれませんが、NSC入校≒吉本入社という扱いとなります。つまり、NSCに入校する事は実質吉本の芸人である事と同じ意味になるのです。

 

実際、NSCにいつ入校したかどうかで芸歴が決まりますし、新喜劇に同期入団した人たちの中でも「兄さん」「姉さん」とツイッターなどでやり取りするケースも見受けられます。

 

 

 もし、一定程度の実力がある入団希望者のうち、一般から多く採用するとなるとどうなるでしょうか。

 

 この場合、新たに人を雇わなくてはいけなくなりますからその人たちに支払う給料が新たに発生します。その分だけ捻出しなければいけない資金が多くなるのです。

 

 

 しかしNSC出身者から多く採用するとなれば、入団したとしても吉本興業全体の芸人の総人数は変わりませんから、「内部移籍」という形で資金面などに大きな影響を与えることなく、入団させることが出来るのです。

 

 

 ただ、近年の芸能界を取り巻く環境の変化や少子高齢化が進む現状を考えると、一般からの採用をもう少し広げた上で審査すべきではないかと個人的には思います。

 

 

 その方が、”ごり押し”と批判されるリスクを減らすことができますし、より実力のある人を発掘できるより良い機会になるのではないかと思います。

 

 

 

 

本当にやる気だけの問題?退団者が多い現状

 

 近年は「乳首ドリル」で一躍名をはせた吉田裕さんや、ギター芸でおなじみの松浦真也さんなど金の卵オーディションで入団した若手座員が注目を集めつつあります。

 しかし、まだ大半の若手座員は人気を得るための必死の努力を続けている状況です。

 

 

 ご承知のとおり、お笑いの世界が大変厳しいものであることは言うまでもありません。しかし、吉本新喜劇は漫才師などとは違う事情を抱えています。

 

 

これまで金の卵オーディションでの入団ののち、人数に幅はありますが退団者が続出するという事態が繰り返されてきました。

 

 

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やる気もなく出番が与えられない状態が続いて退団となれば言うまでもありませんが、ある程度の出番が与えられているにもかかわらず退団に踏み切るというケースが後を絶ちません。

 

 

これまで長年芸能界と共にけん引してきたテレビなどのメディアに対する信用の低下や、コンテンツの多様化、さらに少子高齢化により入団希望者が減る可能性のある現状を踏まえると、若手の育成がこれまで以上に重要になってくるのは間違いありません。

 

 

吉本興業にとっては「ただ足を運んでお金を落としてくればいい」だけの事なのかもしれませんが、果たしてそれでいいのでしょうか。

 

若手座員のPRをこれまで以上に強化するなどの策を打つことはできないのでしょうか。

 

 

もし、今後若手座員が今以上に減ってしまえば吉本新喜劇を続けることは難しくなってしまいます。若手座員の育成は急務なのです。

 

 

 

 

(2017年12月12日追記)

 

  今年の11月から新たに金の卵第10個目オーディションの募集がスタートしました。締切は12月29日(金)までとなっています。

 

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 吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 第9個目合格者のお披露目からわずか半年で次の入団希望者を募集するのはなぜなのでしょうか。

 

 

 実は今年9月25日にオープンしたよしもと西梅田劇場で、なんばグランド花月がリニューアルオープンする12月21日以降も公演が継続して行われることが決まったのです。

 

 

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よしもと西梅田劇場の公演の継続について知らせる、吉本興業提供のスマートフォンアプリ『ラフピー』 の画面。

 

 

 これにより吉本新喜劇は、なんばグランド花月よしもと祇園花月よしもと西梅田劇場の3つの劇場を拠点に活動していくことになります。

そうなると公演数も自然と増加しますから、より多く座員を増やして余裕を持たせる必要が出てきます。

 

そのために金の卵第10個目オーディションの募集を行っているのではないか、そう考えられるのです。

 

 

 

 

 また、金の卵第10個目オーディションの募集と同時並行で『吉本新喜劇脚本家大賞』という企画が併せて行われています。こちらは締切が12月15日(金)となっています。

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 吉本新喜劇では原則として各座長に専属の脚本家がついています(但し、小籔座長以降の4座長に関しては回によって変わる場合もあり。)。

しかし先程も挙げたようによしもと西梅田劇場の公演継続に伴い公演数が増加するため、その分より多くの新喜劇の台本を仕上げる必要があります。

 

今回の脚本家大賞は、脚本家全体の人数を増やして公演の準備がスムーズに行われるようにするために行っているのではないか、そう考えることが出来るのです。

 

 

一方で、このような見方も出来ます。

2017年12月現在の公演は現6座長に加えて吉田裕さん・信濃岳夫さん・諸見里大介さんの3人の”リーダー”を加えた9人体制で実施されています。

 

また以前の記事でも取り上げたように、座長就任を目指している清水けんじさん・アキさんの存在を考えると、この脚本家大賞は新座長就任に伴い専属となる新たな脚本家を育成するために行っているのではないかとも考えることが出来るのです。

 

 ただ、仮に新座長就任があるとすれば問題は発表と就任公演の時期ですね。脚本家大賞が終了してどれくらい経ってからの発表となるのか、そしていつ就任公演が実施されるのか。これらの点にも注目していく必要がありそうです。

 

 

 

 

座員たちの努力だけでは限界があります。将来吉本新喜劇に入団したいという人の夢を潰さない為にも、ファンの皆さん等で声を上げてあらゆる可能性を探っていく必要がありそうです。

 

 

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*1:但し、諸般の事情により1人が辞退しています。

*2:永田良輔 - Wikipedia

*3:当時設定された目標観客動員数は1989年10月から1990年3月までの半年間で延べ18万人《1日平均に換算すると約1000人》でした。

【吉本新喜劇2027 第4回】「吉本新喜劇 佐藤太一郎企画」から考える吉本新喜劇の未来

 吉本新喜劇の若手座員にスポットを当てながら、吉本新喜劇の未来について考えていくシリーズ『吉本新喜劇2027』。

 今回は吉本新喜劇での”熱い芝居”で注目され、独自に立ち上げた自身の企画と共に日々成長を続ける佐藤太一郎さんについて特集します。

 

 

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吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

 

 

 

 

3年前の公演を”新たな青春物語”として再演

 7月4日(火)と5日(水)になんばグランド花月で、吉本新喜劇 佐藤太一郎企画その19『風のピンチヒッター'17』が上演されました。

 

 この作品は佐藤太一郎さんが吉本新喜劇に入団する前に所属していた劇団「ランニングシアターダッシュ」(現在は解散)で1997年に上演された作品「風のピンチヒッター」を基に作られた作品です。

 

 

野球への愛だけは人一倍あるものの、エースにはなれない平凡な男子高校生を中心に弱小野球部が奮闘する姿を描いた青春物語です。

舞台は球場を思わせるシンプルな美術で、佐藤は主人公のミナミを演じました。転校生として大阪府立第三高校にやってきたミナミ。時同じくして、廃部目前の弱小野球部の救世主と噂された少年も転校生として第三高校へ。ミナミとぶつかった拍子に帽子が入れ替わり、ミナミが救世主に間違われることに。ところがミナミは驚くほどの運動音痴。野球への愛はあるものの、即戦力としては頼りにならず...。ですが、ミナミが入部したことをきっかけに、徐々に野球部に活気が戻り、ある夏、甲子園出場をかけて数々の奇跡を呼び起こしていくのでした。  

よしもとニュースセンター:NGKを走り抜けた! 熱い演技と笑いで魅了した「吉本新喜劇 佐藤太一郎企画その19『風のピンチヒッター'17』」 

 

  今回の公演は千秋楽である5日(水)の方に私は観に行きましたが、感じたのは普段の新喜劇の公演と大幅に客層や雰囲気が違うことでした。

 

通常の新喜劇の公演では観客は親子連れや若年層の人が多いのですが、今回は親子連れが少なく年齢層もやや高めな印象を受けました。普段新喜劇を観ることがあまりない人達がたくさんNGKに足を運んだことで新喜劇を観に行く時とは全く違う空気に包み込まれているような感じがしました。

 

 またNGKの客席に入るための各入り口に暗幕が備え付けられていますが、その暗幕の使用そして極力照明を点けずに館内を真っ暗にするなど、より世界観に入るための工夫が徹底されているところもまた普段とは違う雰囲気を感じました。

 

 

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廃部寸前の弱小野球部を甲子園出場へと導く剣道部のサカモトを演じた吉本新喜劇の鮫島幸恵。

吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

 

劇中では普段の新喜劇でもお馴染みの目玉いじりなど新喜劇の要素も所々盛り込まれていて、笑いを誘う場面もありました。

公演終了後は大勢の観客によるスタンディングオーベーションが行われ、私も参加させていただきました。それは私を含め、この舞台が多くの人々の心に残るものになったことを表しているのではないでしょうか。

 

 

 

 実はこの作品は3年前にも、ZAZA HOUSEで上演されています。

家に帰った後、下の動画を見てみましたが同じ物語であるとはいえ、今回とはまた違った熱気に包まれているような感じがしました。

 

www.youtube.com

 

キャストは今回と大幅に異なり、吉本新喜劇からはレイチェルさんが参加しています。また、ステージの大きさも小さかったためどうしても表現の幅に限界があったのではないかと思います。

 

今回の舞台ではステージの大きさはZAZA HOUSEの何倍も大きく、特に激しく動き回るシーンでは動くことの出来る範囲が広かったためかなり躍動感あふれるものになっていたと思います。

 

 

 2日間にわたって行われた今回の公演は本番の数日前まで満席になるかどうかギリギリの状態でしたが、直前に両日の公演共に完売。全てが最高潮の中で幕を閉じました。

 

 

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 『吉本新喜劇 佐藤太一郎企画』とは?

  では今回の『風のピンチヒッター'17』で19回目を数えた「吉本新喜劇 佐藤太一郎企画」とは一体どんなものなのでしょうか。

 

佐藤太一郎企画はこれまでに以下の舞台が公演されています*1

 

  1. 『一番の誕生日!』(2010年6月・京橋花月)
  2. 『LOVE IS BUBBLE』(2011年9月8日・∞ホール大阪)
  3. 『今宵の月のように』 (2012年3月6日・5upよしもと)
  4. 『Wedding Eve』(2012年9月23日・5upよしもと)
  5. 『グッド・コマーシャル』(2013年3月9日・5upよしもと)
  6. 『愛をくらえ』(2013年10月10日・5upよしもと)★
  7. 『ヒトダマ』(2014年3月16日・5upよしもと)★
  8. 『風のピンチヒッター'14』(2014年6月25日~28日・ZAZA HOUSE)★
  9. 『ダイヤル38』(2014年9月10日・ZAZA HOUSE)
  10. 『冷静と情熱と男と女のあいだ』(2014年12月19日・なんばグランド花月)★
  11. 『ヒトダマ』《再演》(2015年3月11日・ルミネ the よしもと)
  12. 『夏の魔球'15』(2015年6月19日~21日・近鉄アート館)
  13. 『グッド・コマーシャル』《再演》(2015年7月22日~23日・なんばグランド花月)★
  14. 『STANDARD BOOKSTORE』(2015年9月17日~18日・スタンダードブックストア心斎橋)★
  15. 『do with cafe』(2016年1月20日~21日・do with cafe)
  16. 『未来の今日』(2016年3月4日~6日・恵比寿エコー劇場)
  17. 『THE END'16』(2016年6月23日~26日・YES THEATER)★
  18. 『闘う男』(2017年2月28日・HEP HALL)
  19. 『風のピンチヒッター'17』《再演》(2017年7月4日~5日・なんばグランド花月)

  

 分析してみると2010年6月に第1回の公演が行われて以降、回を追うごとに1年間の上演回数が増加し、よしもとの常設劇場だけでなく大阪や東京の小劇場などでの公演も行われていることが分かります。やはりそれだけ多くの人の注目を集めると共に、様々な可能性を追求したい太一郎さんの姿勢がこの公演の数々に表れているのだと思います。

 

公演は若手の新喜劇座員が多数出演したものや、関西の劇団で活躍する俳優が共演するものなど、内容も多岐にわたります。吉本新喜劇 佐藤太一郎企画 その7『ヒトダマ』では座長の内場勝則さんが特別出演したこともあります。

 

youtu.be

 

 

太一郎さんはYoutubeに公式チャンネルを開設しており、公演のダイジェスト動画には”「吉本新喜劇 佐藤太一郎企画」は年間数回にわたって佐藤太一郎プロデュースにより行われる公演です。お芝居を中心に様々な企画に佐藤太一郎が挑戦します!”と企画の趣旨が動画の中で紹介されています。

現在上記の19の舞台のうち★印が付いている7つの公演のダイジェストが公式チャンネルで公開されていますので、お時間のある方は公式チャンネルをのぞいてみて下さい。

 

 

www.youtube.com

 

 

 笑いをとる事だけが全てなのか?

 

  吉本新喜劇は新喜劇という言葉に則れば、「芝居」と「笑い」の要素が織り交ぜられた一つのエンターテイメントです。

最近の新喜劇ブームでは後者の「笑い」の方がよく注目を集めがちですが、それが「芝居」やストーリーなどの他の要素の上に成り立っていることを忘れてはいけません。

 

 

佐藤太一郎企画は次回で記念すべき20回目を数えます。

つい先日には本人のツイッターで次回の公演が、その5・その13で上演された『グッド・コマーシャル』を東京で初めて上演することが発表されました。

 

 

 

 

今後の活躍がますます期待される太一郎さんですが、気になる動きもあります。

 

 昨年の12月に行われた「よしもと新喜劇お正月スペシャル」では内場座長や辻本座長の回に出演しているメンバーのほとんどが登場しなかったことに対して批判が殺到しました。

そうした中で、すっちー座長の回に多く出演しこの佐藤太一郎企画を通して注目を集めつつあった太一郎さんも上記のメンバー同様に出演しなかったのです。

 

吉本新喜劇の公演は通常、座長と脚本家などとの間で相談しながらキャスティングが決定するといいます。しかし、お正月スペシャルの場合は複数の座長が出演しますからそうはいきません。

 

またお正月スペシャルは吉本新喜劇の全キャストが集結することの出来る唯一の公演ですから、運営側の姿勢が顕著に表れやすくなります。

 

このお正月スペシャルに太一郎さんが出演しなかった点については、個人的な推測になりますが、運営側である吉本興業吉本新喜劇のPRにおいて「芝居」重視の座員は求めていないというメッセージを意味しているのではないかと思います。

 

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昨年行われた「よしもと新喜劇お正月スペシャル」のキャスト一覧。総人数は記録が確認できる2009年以降で最も少ない37人となった。

 

これではせっかく自身の成長のために汗をたくさん流し、色んな新喜劇座員と共演してきた公演の数々がゼロ同然となっては失望しかありません。

 

吉本興業は笑いだけに全力を尽くす人しか見ない事務所なのでしょうか。吉本興業には芸能活動の幅に関してもっと自由度を高めてもらいたいものです。

 

 

 

 

 

詳細についてはまだ未発表ですが、記念すべき20回目の佐藤太一郎企画がついに始動しました。日々熱い芝居で全力疾走する太一郎さんの今後の活躍ぶりに注目です。

 

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 吉本興業/よしもとクリエイティブ・エージェンシー

*1:その他にも、多数舞台が公演されています。